軍艦島とは?
見どころや行き方から
ツアー参加時の注意点までを紹介
長崎県にある軍艦島は、2015年にユネスコの世界文化遺産に選定され、日本国内のみならず世界的にも話題になりました。今では、日本の近代化を支えた面影が見られる貴重なスポットとして人気です。この記事では、軍艦島の見どころやツアーへ参加する際の注意点について解説します。
軍艦島とは?What is Gunkanjima?
軍艦島は正式名称を「端島(はしま)」といい、長崎県の長崎港から南西約20kmに位置する人工島です。海底炭鉱として日本の近代化を支え、労働者たちが生活する鉄筋コンクリート造の集合住宅が立ち並ぶ外観が、軍艦「土佐」に似ていることから「軍艦島(ぐんかんじま)」と呼ばれるようになりました。
現在は無人島ですが、石炭採掘の最盛期であった1960年頃は世界一の人口密度を誇るほどの繁栄ぶりでした。1974年に閉山し、軍艦島への観光客の立ち入りは禁止されていましたが、現在は観光客の立ち入りが可能となり観光スポットとして注目されています。
軍艦島は2015年に「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の一つとして、ユネスコの世界文化遺産に登録され、さらに注目を集めているスポットです。
軍艦島の歴史History of Gunkanjima
- 2015年
世界文化遺産に登録された
- 2009年
島の一部のみ観光客の上陸が可能となった
- 2001年
三菱マテリアル株式会社(元三菱鉱業)から長崎市高島町に譲渡された
- 1974年
閉山。無人島となった
- 1960年
人口5267人で世界一の人口密度となった
- 1941年
年間41万1100tの最高出炭量を記録した
- 1890年
三菱マテリアル株式会社(元三菱鉱業)が島全体や鉱区の権利を買い取った
- 1810年
石炭が発見された
軍艦島では、1890年に三菱マテリアル株式会社(元三菱鉱業)が島全体や鉱区の権利を買い取り、海底炭鉱として石炭の採掘を始めました。大正から昭和にかけて採掘が盛んになり、1960年には人口5267人を抱え、世界一の人口密度だったそうです。島内には、社宅や学校、病院、理髪店、娯楽施設など生活に必要なものは何でもそろい、労働者の生活を支えていました。
その後、主要なエネルギーが石炭から石油に移り炭鉱業は徐々に衰退。1974年に閉山を迎え、その後は住民たちが島を離れ無人島になりました。
軍艦島の見どころHighlights of Gunkanjima
軍艦島の歴史を学ぶと、軍艦島の楽しさが何倍にも広がります。
ここでは、軍艦島の見どころを解説するので、実際に訪れた際には歴史に思いを馳せながら巡ってみてはいかがでしょうか。
第1見学広場
第1見学広場は、軍艦島の玄関口である「ドルフィン桟橋」から上陸して最初に目にするスポットです。端島小中学校や社宅、ベルトコンベアーの跡など、当時の生活が垣間見えます。広場から眺められる小高い丘の上には職員社宅3号棟がそびえ、炭鉱を管理する幹部職員が住んでいました。また、広場から北に位置する端島小中学校では、1階~4階が小学校、5階~7階が中学校として使用され、炭鉱で働く親の子どもたちが通っていました。
第2見学広場
第2見学広場は、島の中心部とも言える炭鉱開発の事務所や倉庫、作業場が置かれていたエリアです。赤レンガ出てきた総合事務所のほかに、炭鉱へ続くリフト乗り場を見学できます。炭鉱関連施設が多いため、軍艦島が栄えていた当時の様子を色濃く残す光景が見られるでしょう。建物のほとんどが老朽化により崩壊しかかり、遺跡のような独特な雰囲気が漂うのも特徴の一つです。
第3見学広場
軍艦島の観光で最後に訪れるのが、第3見学広場です。このエリアでは1916年に日本で最初に作られた鉄筋コンクリート造のマンションを見学できます。「30号棟」と名付けられたマンションは築100年以上を超え、一部が崩落を起こしながらもその姿を保っています。現在も崩壊が進んでおり、近い将来見られなくなってしまうかもしれません。敷地内では、住民用のプールの跡などの見学も可能です。
軍艦島への行き方How to get to Gunkanjima
軍艦島へは個人では行けないため、船会社が運行する軍艦島ツアーに参加する必要があります。ツアー内容は船会社によってさまざまですが、大まかにはまず長崎港から出港して軍艦島へ上陸し、見学を行います。そのあと、軍艦島を周遊したのちに長崎港へと寄港するという流れです。
長崎港から軍艦島までは片道40分程度かかります。ただし、天候の安全基準を満たせないと上陸できません。以下の場合は上陸できないのを覚えておきましょう。
- 風速が5mを超えるとき
- 波高が0.5mを超えるとき
- 視程が500m以下のとき
軍艦島ツアー
参加の際の注意点Important point
軍艦島へ訪れる際には、いくつかの注意点を守る必要があります。ここでは主な点について解説します。一般的な注意事項なので、詳細は各船会社が提示している注意事項の詳細も必ず確認してください。
天候によっては上陸できない
前述の通り、天候の安全基準を満たしていない場合には軍艦島への上陸はできません。出航後に関しても、旅行者が安全に下船できないと船長が判断する場合は上陸が中止となる場合があることを覚えておきましょう。出航後に軍艦島へ上陸できなかった際の、返金対応などについては船会社の規約を確認してください。
トイレがない
軍艦島にはトイレはありません。船にトイレがある場合は利用できますが、込み合ってなかなか行けない可能性もあります。お手洗いは基本的に乗船前にすませておきましょう。また、島内のツアーの途中で船に戻ることは難しいため、船内のトイレを利用する場合でも下船前がおすすめです。
傘は使用禁止
海上に浮かぶ軍艦島は、風が強いため傘でのケガを防ぐために、雨傘・日傘ともに利用が禁止されています。雨が降っている場合にはレインコート、日差しが強い場合は帽子を着用するようにしてください。船内でレインコートを配布されたり購入できたりする場合もありますが、ツアーによって異なるためご自身で準備をしておきましょう。
子どもの年齢制限がある
軍艦島は舗装がされていない場所や急な斜面があるため、安全上の理由によりツアー参加に年齢制限が設けられています。たとえば、3歳以下は申し込みができません。また、小学生未満はコースにより上陸ができない場合があります。子供連れでツアーに参加をする場合は、申し込み前に参加条件を必ず確認してください。
誓約書の提出が必要
ツアーに参加をする際は、上陸に際してのルールを守るために誓約書や承諾書の提出が必要です。提出する書類は各船会社により異なるため、各船会社の規約を確認してください。ルールを守れない場合は、強制的に下船させられるなどのペナルティや刑事事件として発展する場合もあるため、ルールを遵守して観光を楽しみましょう。
上陸施設使用料が必要
軍艦島へ上陸する際は、ツアーの参加費とは別に「上陸施設使用料(大人310円、小学生150円)」が必要です。15名以上であれ上陸施設使用料は基本的に、申込時にツアー代金と一緒に徴収が行われます。また悪天候などで、軍艦島へ上陸ができず周遊ツアーとなった場合は、ツアー会社より返金が行われます。
軍艦島に関する
よくあるQ&AFrequently asked questions
最後に、軍艦島観光に関するよくある質問を解説します。
軍艦島に行ってみたい!と思った方はぜひチェックしてください。
- 軍艦島で何があった?
- 世界一の人口密度を誇る海底炭鉱として栄えました軍艦島はかつて海底炭鉱掘削の拠点として栄え、そこで働く労働者を支えるために住居や商業施設の建設が行われました。1960年には人口密度世界一を誇り、日本国内の近代化を支える重要な拠点だったといえます。しかし、エネルギー需要が石炭から石油に移ったことにより1974年に閉山。その後は無人島となり、現在では当時の繁栄ぶりを感じられる廃墟の数々を見学できます。
- 軍艦島ツアーの所要時間は?
- ツアーにより異なりますが、4時間程度が一般的です軍艦島ツアーは、多くのツアー会社で午前と午後の1日2便の運行が行われています。所要時間はツアーにより異なりますが、おおよそ4時間のツアーが一般的です。そのうち1時間ほど島に上陸して、島内を見学します。出発時間は、午前便であれば9時ごろ、午後便であれば13時〜14時頃が多いです。
- 軍艦島に行くときの服装や持ち物は?
- 気温調整のできる歩きやすい服装が、靴はスニーカーがおすすめです海の天気は変わりやすく、羽織物など温度調節できる格好だと安心です。また、軍艦島は足元が悪い場所が多く、転倒などの事故を防ぐためにハイヒールやサンダル、草履では上陸できません。必ずスニーカーなど歩きやすい靴を履いていきましょう。夏場であれば水分補給用のドリンクも欠かせません。一方で、傘の利用は禁止されているため日傘・雨傘ともに持ち込まないように注意してください。 晴天時は帽子の着用をおすすめします。
- 軍艦島にトイレはある?
- 軍艦島にトイレはありません軍艦島にはトイレがありません。船の出発前にターミナルですませるか、船の中にあるトイレを利用する必要があります。軍艦島へ上陸したあとは、ツアー終了後まで船に戻ることが難しいため、下船をする前にかならずすませておくようにしましょう。
軍艦島観光を楽しむなら
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歴史を知るとより楽しめます
軍艦島はその歴史を知ることでより深く観光を楽しむことのできるスポットです。この記事で軍艦島の知識を身につけてから、ガイドさんの説明にも注目して観光をお楽しみください。ツアー参加時にはいくつかのルールがあるため、事前に各船会社で確認してから楽みましょう!
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